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府中けやき共同事務所

2020/11/30

法定相続人と法定相続分

こんにちは!

早いもので今年も残すところ1カ月となりましたが、コロナに振り回された一年となってしまいました。
ワクチン開発の報道も気になるところですが、一日でも早く人と普通に会える世界へ戻ってほしいものです。

さて、今月のブログは『法定相続人と法定相続分』と題して、先月解説した遺留分同様、相続を考えるうえで知っておかなければならない基礎知識を解説していこうと思います。「誰にいくら遺す」ということを明示するのが遺言書ですが、遺言書が無い場合一般的には法定相続分通り遺産は分割されます。家族の誰がどのくらいの割合を貰えるのか? を知っておくことは大切なことだと考えますので、是非最後までお付き合いください。




法定相続人とは?

民法上、亡くなった方の財産を引き継ぐ権利のある方を法定相続人と呼びます。
法定相続人は亡くなった方の家族が該当することになるのですが、家族全員に相続できる権利があるわけではありません。
法定相続人にも順位というものが存在します。下表をご覧ください。



第一順位の前に、亡くなった方の配偶者は必ず法定相続人となります。
ただし、正式な婚姻関係が必要となりますので、事実婚や内縁の妻といった場合、法定相続人とはなりません。

続いて子ども、親、兄弟姉妹と順位は移っていきますが下図のような家族では誰が法定相続人となるでしょうか?



亡くなった方には配偶者がいますので、この方は法定相続人ですね。
次にお子さんが二人いらっしゃるので、お子さん達も法定相続人です。

ご両親と兄弟が健在ですが、相続順位で一位である子どもたちがいますので、この方々は法定相続人とはなりません。よって、法定相続分通りに遺産分割が進んだ場合受け取れる遺産はありません。

しかし、亡くなった方が遺言書に「父に預金○○○万円を遺贈させる」と書いておけば、法定相続人の遺留分を侵害していない限り相続することは可能です。これは母も兄弟も同様です。

要するに法定相続分通り遺産分割を行う場合は、相続順位の高い人がいればその人に財産は受け継がれていくということになります。

例外としてあまり一般的ではありませんが、相続廃除や欠格があると、法定相続人足りうる血縁関係があったとしても、相続人の権利は無くなります。


法定相続分とは?

相続人にも順位が存在することはご理解いただけたかと思います。次に気になるのはそれぞれがどのくらいの割合で遺産を相続できるのか? ということになると思いますが、下表をご覧ください。



順位が下がればそれだけ受け取れる遺産も少なくなることが分かると思います。ただし、法定相続分は民法に定められてはいますが、あくまで目安となるものなので、相続人同士で協議した結果、全員の合意があれば必ずしも上表の相続分に従う必要はありません。

特に注意していただきたい点として、お子さんがいない場合です。亡くなった方のご両親や、場合によっては兄弟姉妹も遺産分割協議に登場することになります。日頃からコミュニケーションが取れており、円満な解決が予想されるのであればよいですが、揉める要素も多分に含んでいる人間関係ですので、お子さんのいない方で「配偶者になるべく多く財産を相続させたい」とお考えの場合は遺言書の作成をおススメいたします。

続いて法定相続分をケースごとに図で解説していきます。

ケース①配偶者と兄弟姉妹の場合



亡くなった方の両親はすでに他界しており、配偶者はいますが子どもはいません。遺された法定相続人は配偶者と兄弟でした。
この場合は法定相続分通りに遺産分割を行うと配偶者が3/4相続し、兄弟が1/4相続することになります。

よくある勘ちがいとして、配偶者は遺産の全てを相続できると思っているケースがありますが、それは誤りです。
兄弟姉妹に遺留分は存在しませんが、法定相続分は存在します。
もし、上図のケースで配偶者に遺産の全てを相続させたい場合は先ほども解説した様に、遺言書の作成が必要になりますのでご注意ください。

ケース②代襲相続となる場合



次に代襲相続が発生したケースを見て行きましょう。
3世代が関係する相続ですが、亡くなった方の配偶者は健在ですので遺産の1/2が法定相続分となります。

次に亡くなった方のお子さんに目を向けましょう。
2人いますが、1人は相続開始前に亡くなっています。この場合「代襲相続」といって一つ下の世代へと引き継がれることになりますので、本来子どもが相続する分であった1/4の遺産は子どもの子ども(亡くなった方から見た孫)へ渡ることになります。上図の例では代襲相続人が2人ですので1/4×1/2=1/8となりそれぞれが相続することになるのです。

代襲相続は直系の場合(孫・ひ孫・玄孫・・・)どこまでも権利が発生しますが、兄弟の子どもたちである甥や姪はそこで打ち切りとなり、さらにその子ども(甥・姪の子ども)まで続くことはありません。

また、上図で代襲相続することになった子どもたちの母親は亡くなった方と血縁関係はありませんので法定相続人とはなりません。
しかし、介護や身の回りの世話など亡くなった方へ一定の貢献があった場合は、特別寄与料を請求できる可能性はあります。これは改正相続法で新たに創設された制度ですので別の機会に詳しく解説していこうと思います。

ケース③代襲相続(兄弟の子ども)



再び代襲相続の例ですがケース②とは違い、亡くなった方の兄弟の子が代襲相続人となるケースです。
祖父と孫のように直系の関係ではありませんので、一般的には日頃の交流もほとんど無いという場合が多いことでしょう。
日頃の交流が無いということはそれだけ「揉める」要素も多く含んでいると考えなければいけません。

「自身の配偶者に全財産を相続させたい」と思えば遺言書の作成が非常に効果的なのは先にも述べた通りです。兄弟姉妹に遺留分は存在しませんので、遺言書の通り遺産は分けられることでしょう。

ケース②③と代襲相続の例を取り上げましたが、遺産には必ずしもプラスの物だけしかないというわけではありません。借金等のマイナスの財産も「遺産」となりますので、代襲相続が発生し、「思わぬ臨時収入」と思っていても、マイナスの財産を受け取ることになってしまうこともあります。

叔父や叔母に子どもがいない場合、代襲相続が発生する可能性は十分ありますので、思わぬ借金を背負うことの無いように、相続の事実を知った際は相続放棄も含めた慎重な対応が必要となります。

今回のまとめ



前回の遺留分解説に引き続き、相続の基礎ということで法定相続人・法定相続分について基本的な部分を解説させていただきました。
当ブログでいつもお話していることにはなりますが、相続人間の関係性や日頃のお付き合いの度合いなどで「揉める・揉めない」は変わってくるものです。ブログ中の例でも登場した甥・姪を含む代襲相続などは関係性の薄さから揉める相続の典型と言えるでしょう。

そうならないための遺言書なのですが、いざ書こうとすると中々筆が進まないといったことや、そもそもどうやって書いたら良いのかわからない…という方も多くいらっしゃいますし、現に弊所へご相談に来られる方の多くが「まず何から始めたらいいですか?」とご質問されるケースは非常に多い様に感じます。

家族の在り方も大きく変わり、昔ほどコミュニケーションを頻繁に取らなくなってきた時代です。ましてコロナ禍の現在であれば尚更でしょう。
おうち時間をうまく活用して、ご自身の財産を誰にどう使っていってほしいかを考えるのも良いかもしれません。

また、改正相続法により新しく登場した制度も多数存在しますので、相続対策でどんな手段を取っていけばよいのかご心配・ご不安がある場合はどうぞお気軽に弊所へご相談ください。


今回も最後までお読みいただきありがとうございました。







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