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府中けやき共同事務所

2020/04/30

遺言書に書けること

こんにちは!
司法書士法人府中けやき共同事務所の秋池です。

新型コロナウイルスの報道が続いておりますが、皆様ご無事でお過ごしでしょうか。
当事務所の新型コロナウイルスへの対応策、並びに業務運営方針につきましてはコチラのページをご確認ください。外出自粛が政府より要請されておりますので、どうぞご自宅で本ブログもご覧いただければ幸いです。
さて、今月は『遺言書に書けること』と題して、遺言書に書ける内容について司法書士としての視点から分かりやすく解説していきたいと思います。前回のブログで解説した遺言書とエンディングノートの違いでも軽く触れましたが、遺言書は書ける内容も民法という法律に定められています。一体、遺言書にはどんなことが書けるのでしょうか?これから遺言書を作成しようとしている方へ向けて、基本的な部分を解説していきますので、最後までお付き合いいただけたら幸いです。

 

財産(遺産)に関することが書けることの中心

一般の方が聞いて、遺言書と言えばまず思い浮かぶのが財産に関することではないでしょうか。遺言書にはご自身の財産に関することについて以下のような内容を書くことが可能です。

①相続分の指定
例えば長男は4分の1、次男4分の2、三男4分の1といったように相続してもらう割合を指定することが出来ます。これを指定相続分と呼びますが、逆に民法の規定通りに分ける方法を法定相続分と呼びます。先の例を法定相続分で分けた場合は、各々3分の1ずつになります。
相続分の指定は遺言書でも書かれることの多い項目ですが、遺言の内容が遺留分を侵害している場合、他の相続人からその侵害額をお金で支払うように請求される可能性があります。

遺留分とは兄弟姉妹を除く相続人(配偶者、子どもや孫、父母等)のみが持つ権利ですので、仮に遺言書を書く方にお子さんがおらず、配偶者がいたとして、「妹に全財産を相続させる」と書いても、配偶者の方が遺留分侵害額を金銭で請求をした場合、必ずしも書いたとおりに妹さんへ全財産が行かない可能性もある点に注意する必要があります。

②遺産分割方法の指定・禁止
よくある話ですが、「家を継いでくれる長男には自宅と土地を、次男には預金を…」といった形で、誰にどの遺産をもらってもらうかを指定することが可能です。
また遺産分割はケースによって当事者同士が揉めることも十分予想できます。その場合は、5年を超えない期間を上限として、遺産分割の禁止を遺言書で遺すことも可能です。当事者間で冷静になって考える期間を与えるといったところですね。

③遺贈
法定相続人以外の方や団体等、お世話になった方へ財産を譲りたい場合、遺言書に書くことで財産を渡すことが可能です。
しかし、先に述べた遺留分を侵害した場合は、侵害額の金銭請求を相続人から受ける可能性があります。そのため、遺贈は例え「全財産を○○へ遺贈する」と書いても必ず希望通りにはならない可能性もあります。

④予備的遺言
遺言者の方が亡くなる前に、相続させる予定の相続人の方がいなくなってしまったという万が一の事態に備えて、予備の候補者を定めておく内容の遺言です。
夫婦が同時期に遺言書を作成し、互いに相手が全ての財産を相続するという内容にした場合、例えば先に夫に万一があると、おのずと残された妻の遺言書(夫に全ての財産を相続させる)は使えないものとなってしまいます。そういった場合に備え、はじめから第二候補として子供や兄弟姉妹又は第三者等の別の人に相続させる又は遺贈する、としておくことによって、遺言書を書きかえることなく有効な遺言書を残すことができます。

⑤生命保険の受取人変更
こちらは民法ではなく保険法の改正で、遺言書に書くことが可能になった事項です。ご自身の死亡保険金等の受取人を、遺言書を通じて変更することが出来るようになりました。しかし、死亡保険金は相続財産ではなく受取人固有の財産ですので、当事者間で揉めるケースもあるようです。できればご自身が元気なうちに、保険内容をよく把握し、保険会社への手続きを通じて受取人の変更をしておくことをお勧めします。

⑥特別受益の持ち戻し免除
特別受益とは生前に遺言書を書く人から、何らかの財産をすでにもらっている(例えば家を建てる際の親からの援助等)ことなのですが、特別受益のある法定相続人は通常、その分を修正して相続することになります。つまり、あらかじめもらった分は相続の開始時に残っていたものとみなして相続財産の額に加え、そしてプラスされた財産をもとに各相続人の配分額を計算することで、特別受益を受けていない相続人への不公平を正すという方法があります。これを特別受益の持ち戻しと言うのですが、それを免除することを遺言書に書くことが可能です。
ちょっと難しいですね…。分かりやすく言うと、
「特別受益があったときには、本当は相続財産にその分を上乗せ(持ち戻し)して、特別受益を受けていない他の相続人の取り分が多くなるようにする必要があるけれど、その分は大目に見て他の人と同じ分だけ相続させてあげてね(免除)」といった感じでしょうか。
実は特別受益の持ち戻し免除は、配偶者の居住権を保護する目的で今年の4月1日から改正された相続法が施行されています。注目度の高い内容だと思いますので、また別の機会に詳しく解説していく予定です。

⑦相続人の廃除・取り消し
遺留分を有する相続人(兄弟姉妹を除き財産をもらうことになる人)になる予定の人へ、遺産を渡したくない人がいればその権利を消失させることが出来ます。例えば遺言書を書くあなたへ暴力などの虐待や、重大な侮辱。著しい非行などを行う人が相続人にいる場合、悲しいことではありますが、そんな人に大切な財産を渡したくないと思う方もいらっしゃるでしょう。その際は、遺言書の効力を持って相続人から廃除することが可能というわけです。廃除された相続人には先の遺留分も無くなります。


また、相続人の廃除は遺言書で取り消すことも可能です。廃除を取り消す場合は遺言書の書き直しが必要になりますのでご注意ください。

 

財産に関すること以外も書ける

遺言書に書ける主だった内容はすでに述べた通りですが、下記のような事柄も書くことは可能ですので、簡単に解説していきます。

⑧祭祀を主宰すべき者の指定
先祖代々のお墓やお仏壇・ご位牌などを祭祀(さいし)財産と言いますが、この祭祀財産は、相続財産とは別に特定の人に受け継がれることとなっており、これを継いでいってくれる人を指定することが可能です。

⑨遺言執行者の指定、または第三者への指定の委託
遺言書執行者とは遺言書に書かれている内容を実現する方を指します。あらかじめその方を指定することが可能です。実際の相続手続きでは遺言執行者を決めておくとスムーズに進むことが多いため、任意ではありますが決めておくことをお勧めします。

⑩信託の設定
信頼できる誰かに自分の遺産を託し、残された家族のために運用や管理・処分を行うことが出来るのですが、通常信託契約は生前に締結する場合がほとんどです。財産に関することに該当しますが、あまりポピュラーではないためこちらに分けて書かせていただきました。

⑪財団法人を設立するための意思表示
こちらも財産に関することに該当しますが、やはりポピュラーではありません。相当な資産家であれば可能性もありますが、一般の方はまず書くことのない内容ですね。

⑫未成年後見人、未成年後見監督人の指定
未成年の後見人について遺言書で指定しておくことが出来ます。遺言書を書く予定の方に、未成年のお子さんがいらっしゃって、尚且つ配偶者がすでにいない場合は書いておきたい内容だと考えます。

⑬認知
父親が「この子は自分の子である」と認めることです。子と認めるということは当然、法定相続人となります。遺言で認めることも出来ますが、その前に認知されているケースが多いです。

⑭付言事項
遺言書の一番最後に載せるもので、法的な効力を持つものではありませんが、遺言書を残すに至った過程や、遺言書に込めたお考え、ご家族へのメッセージなどを自由に記載することができます。遺留分侵害額の金銭請求をしないように求める内容も、付言事項に含まれます。


争続にならないために

今回のブログでは遺言書に書けることの基本的な部分を解説させていただきました。財産に関することがメインとなりますが、中でも相続分の指定・遺産分割方法の指定は後々揉めることになる要素も多分に含まれています。
「どうして私より兄の方が多いの?」
「どうして私より妹に土地を譲るの?」
実際の相続実務に立ち会うと上記のようなことをおっしゃる方は意外と多いです。

そして相続が争続になってしまうケースは年々増えているのが現状です。
「争続なんてお金持ちの話でしょ?うちは関係ないよ」
と思った方もいらっしゃることでしょう。少し古いデータですが平成28年の司法統計の内、家庭裁判所に持ち込まれた、所謂相続争い案件の33%が1,000万円以下の遺産額となっています。

遺言書を書こうと思った方は、なぜその財産をその人に譲りたいのか?をよく考慮して書くことを強くお勧めします。また、後々の争いが起きないよう、家族間でよく話しておくことも大切なことだと考えます。お金の話を親子間や兄弟間でしにくいことは大変よくわかりますが、争いを防ぎ、残してくれた財産を有意義に活用していくためだと思えば、自然と家族間でも話しやすくなるのではないでしょうか。

当事務所では遺言書の作成に関するアドバイスから、実際の作成のお手伝いまで幅広く対応しております。ご自身で迷われた場合にはどうぞお気軽にご相談ください。

本日も最後までお読みいただきありがとうございました。
大型連休期間中もどうぞご無事でお過ごしください。


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